「特級」の称号を冠する4人の呪術師の内の一人であり、幼き日の東堂 葵(とうどう あおい)の才能を発掘した人物。だが、高専からの依頼を全て蹴って独自の理念に基づいて単独で行動している為、生い立ちや術式、過去の功績などの多くの事柄が謎に包まれている。
特級術師には、五条の”術式順転・蒼”(術式反転・赫)に代表される「圧倒的な呪力の収束性(発散性)」や、夏油の呪霊操術のような「圧倒的な手数」、そして乙骨のコピー能力のような「圧倒的な呪力量を基にした変換性」など、他を大きく引き離す「特級たる理由」が存在するが、九十九に関してはそれが長い間、噂にすら上らなかった。
目次
術式・技
星の怒り(ボンバイエ)
長い間、謎に包まれていた割には実にシンプルな九十九の術式は、”星の怒り”と名付けた「自らの肉体に圧倒的な仮想質量を付与する」というものである。もちろん、近接格闘に於いて生来の筋力に呪力を上乗せして強化する技術(呪力操作)は術師として基本中の基本であり、虎杖などはそれに特化した例であるが、九十九の場合は質量、即ち「ダンベルで相手を殴る」という性質のものであり、攻撃が当たった時の破壊力は単なる筋力強化の比ではない。
凰輪(ガルダ)
外見的には水生生物のゲンゴロウの幼虫のような形状をした式神であり、お世辞にも強そうには見えないが、「相手に直接触れなければならない」という”星の怒り”の唯一最大の欠点を補完する為に、式神と言うよりは”呪具化”した使い方をされる。例えば、サッカーボールのように身を丸めた状態の凰輪を九十九が投げたり蹴ったりする事により、本来は自身の肉体にしか付与できない仮想質量を凰輪に移し替える事が可能となり、先の例で言うならば「ダンベルを相手にブン投げる」が如き破壊力のある投擲攻撃となる。
特異点の存在
”星の怒り”の最大の利便性は「自らに付与した質量が一定の範囲内(密度)に収まっていれば、九十九自身は質量の影響を受けない」という点にある。これを先の例で大雑把に表すなら「自分自身はダンベルの重さを全く感じずに、相手を攻撃する時だけダンベルの重さを威力に上乗せする事ができる」というものである。
ただし、質量の増大が”ある特異点”を超えると、九十九自身も質量の影響を受けるようになる。それが後述する”ブックホール化”である。
性格・体質
・呪いを「祓う」という旧来の行為を「対症療法」に過ぎないと定義し、呪霊が発生する要因そのものを取り除く「原因療法」によって、呪いの生まれない世界を作る事を生涯の目的としている。その為に高専が斡旋する任務を受けず、主に海外を放浪して研究していた。
・そもそも、夏油 傑が目指した「呪術師だけの世界を作る」という理想は、高専生時代の夏油に面会した九十九が「全人類が術師になれば呪いは生まれない」という、一つの可能性世界を提示した事に端を発している。
生い立ち
驚くべき事に九十九は本来、”星漿体”として天元(てんげん)と同化する予定の者であった事が判明しているが、結局、同化せずに術師となった経緯に関しては依然、謎のままとなっている。
最期?
”死滅回游”の開始以来、九十九は呪術高専東京校の最深部である”薨星宮”(こうせいぐう)にて、国内主要箇所に結界を張る天元を護衛する為に呪胎九相図の脹相(ちょうそう)と共に駐屯していたが、羂索(けんじゃく)の強襲に遭い、互いの手の内を探り合う苦しい戦いとなる。一度は”領域展開・胎蔵遍野”(たいぞうへんや)の必中攻撃を喰らったものの、なんとか持ち堪えて脹相との連携で羂索の呪力を削るが、奥の手として隠していた極小の”うずまき”を腹部に受けて決定的なダメージを負ってしまう。
だが、勝利を確信した羂索が天元との会話に気を取られている隙に、九十九は”星の怒り”の”特異点”を突破した質量を自らに付与し、五条 悟の”術式順転・蒼”を遥かに凌駕する程の高密度な”ブラックホール”を発生させて、周囲の建物ごと羂索を引きずり込む。
これにて勝負は決したかに見えたが、羂索が更なる奥の手となる”反重力”の術式を用いてブラックホールから脱出し生還を果たした為、九十九は死亡が確認されないまま行方不明となった。
台詞
声優:日高 のり子
「どんな女が好みかな?」
「どちらを本音にするのかは 君がこれから選択するんだよ」
「あの時の答えを聞かせてもらおうか」
「呪力からの”脱却”だよ」
公式人気投票
投票総数 | 得票数 | 順位 | |
第1回 | 163,066票 | 161票 | 第48位 |
第2回 | 97,860票 | 77票 | 第36位 |
第3回 | 96,704票 | 101票 | 第34位 |
初登場
【第6巻】第50話「予感」
姉妹校交流戦の際、京都校の東堂が特級呪霊の花御(はなみ)に対して術式を発動する直前に、東堂自身の回想の中で九十九に初めて出会った小学生時代の光景が思い出された。そもそも、東堂が出会った相手に「どんな女が好みだ?」と訊ねる癖は、九十九が東堂に出会った際に同じ事を訊ねたのが始まりである。